天の川銀河 分子雲サーベイプロジェクト「FUGIN」
FUGINはかつてない規模で、天の川銀河の広大かつ詳細な分子雲を調査する観測プロジェクトです。
このプロジェクトは、一酸化炭素分子の同位体が放射する異なる電波を捉えることで世界で初めて低密度ガスと高密度ガスを分類して検出し、分子雲の広域で詳細な分布状況を明らかにしました。
この観測では、天の川の2万光年に渡る広範囲を精密に調査しています。上の図を見ると、モヤッとした低密度ガスが広範囲に広がっています。しかし高密度ガスは、非常にピンポイントな領域にしか存在していません。
この結果から、分子雲中に含まれる高密度ガスの割合は全体のたった3%しか無いことが判明しました。
重力的な作用を考えた場合、低密度ガスが自由に動き回れば、分子雲の大部分が高密度ガスで満たされるという計算結果になります。
観測により明らかになった分子雲の様子は、そんな計算結果からかけ離れた状態だったのです。これが実際の星の量と、生産量の推定値に乖離が起きてしまった原因です。
この予想と反する結果は何らかの要因が高密度ガスの形成を阻害しているためと考えられますが、現在のところその阻害原因が何であるのかは明らかになっていません。
今回の研究報告は、非常に困難な銀河の精密観測を日本の天文台が成功させたという内容に留まります。
ここから先は、この貴重なデータのさらなる解析を待つことに成るでしょう。
やるじゃん、日本の天文台! と誇らしくなる話ではありますが、星の生成を阻害する謎の要因とは一体何なのか? 謎は深まるばかりです。