星がブラックホールに近づきすぎたことが原因?
ドー氏はいて座A*の異常な光度変化について、「周囲を移動する星や星間ガスが近づきすぎたことが原因かもしれない」と推測しています。星間物質がブラックホールに捕らえられると降着円盤で摩擦が起こり、物質がイオン化されて強い光が放たれるのです。
今回のケースも、ブラックホールの周囲を移動する恒星やガスの接近によりこれと同じ現象が起きたと考えられます。
天の川銀河の中心部では数多くの星々がせわしなく動き回っているので十分にありうる話です。研究チームのロバート・マクニース氏が、いて座A*の周囲を移動する恒星軌道の動画を掲載しています。
LRT: Here are stars orbiting the 4 million solar mass black hole at the center of the Milky Way. This isn’t a simulation, it’s 21 years of observations. S0-2 hits a max speed of ~3% the speed of light.
Data/Viz: Prof Andrea Ghez, UCLA Galactic Center Group / W.M. Keck Telescopes pic.twitter.com/jv9hzy868r— Robert McNees (@mcnees) August 11, 2019
今回観測された強烈な光は、星が近づきすぎたせいでブラックホールの逆鱗に触れたのか、それとも久々に訪ねてくれた喜びの発光なのか…。真相は今後の研究で明らかとなるでしょう。