
Point
■中国の研究チームが砂を土へと変化させるペーストの開発に成功した
■ペーストは植物性のセルロースから作られており、砂の中に水分や栄養素、空気などを保持することができる
■ペーストは環境的に有害性がなく、安価で大量生産にも適している
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/4095
これぞ錬金術ならぬ練土術?
中国・重慶市の科学研究チームが、砂を土へと変える技術を開発することに成功しました。
砂に植物性のセルロース(繊維素)から出来た特殊なペーストを散布することで、砂を土に変えることができます。このペーストが砂の中に水分や栄養素、空気などを保持する重要な機能を持つのです。
またペーストは自然環境にとても優しい成分となっており、有害性もなく安価で大量生産にも適しているとのこと。
魔法のペーストが、グリーンな地球を取り戻す秘密兵器となるかもしれません。
砂と土は何が違う?
そもそも砂と土の違いはどこにあるのでしょうか。
一言で言えば、「有機物」があるかないかです。砂というのは岩石が砕けて粒状になったものですから、基本的に構造は石や岩と同じで有機物を一切含みません。
一方で土の中には生き物のフンや死骸、それらを分解する微生物が大量に存在しています。こうした生命の営みが、土の中に水や栄養分を保持する秘密となっているのです。

開発されたペーストの効果を調べる試験は2016年の3月からすでに開始されていました。実験場所には草木が全く生えない中国のウランブハ砂漠が選ばれました。
ペーストを砂漠の一区画に散布するとまもなく、水分のないカラッカラの砂が湿った土へと変化し始めたのです。こちらがその様子。

手前がペースト散布後。奥の方にはまだ砂漠が広がっている様子が確認できます。
さらにこの土壌では穀物やイネ、低木、ハーブなどあらゆる植物を育てることに成功したそうです。スイカやトマト、大根なども見事に成長しています。

現在地球上では、温暖化や森林伐採の影響による砂漠化が深刻化しています。
世界のおよそ40%以上が砂漠化の危機に瀕しており、中国を例にすると毎年3366㎢の農地や牧草地が砂漠化しているのです。
この危機を止めるためにも、魔法のペーストの活躍に期待したいところですね。