Point
■NASAのX線宇宙望遠鏡NuSTARが、渦巻銀河NGC6946にX線の明るい輝きを捉えた
■このX線源は、10日前の観測では確認できず、またその後チャンドラX線観測衛星で観測したところ、すぐに消滅してしまった
■可視光を発していないことから超新星爆発の可能性は低く、ブラックホールか中性子星が小規模の天体を飲み込んだ、極めて珍しく極端なケースの可能性が高い
NASAのX線宇宙望遠鏡NuSTARが、花火銀河の別名でも知られるNGC6946で謎のX線の輝きを発見しました。
それは1回目の観測では確認できず、2回目に行った10日後の観測で初めて確認されました。そして、その後別のX観測機、チャンドラX線観測衛星で調べたところ、この銀河で4番目に強いX線源であることが判明しましたが、この観測中に消滅してしまいました。
非常に短時間の間だけ輝いたこの天体は、超新星爆発が候補として浮かびますが、可視光が確認できないことからその可能性は否定されています。
謎の多いこの発見についての論文は、カリフォルニア工科大学の研究者Hannah Earnshaw氏を筆頭としたチームにより発表され、2019年8月9日に天文学の査読付き学術誌「The Astrophysical Journal」に掲載されました。
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ab20cd
ピカッと光ったX線
NGC6946は、はくちょう座の方角2250万光年ほどの位置にある銀河です。花火銀河という別名の通り、まるで線香花火のように多数の超新星爆発が起こっていて、爆発的に星形成が進んでいます。
NuSTARは、上の図右上の青緑のポイント、太陽より遥かに重い星の超新星爆発を研究する目的で、観測を行いました。その最初の観測では、今回報告されているX線源は見つかっていませんでした。
しかし、10日後2回目の観測を行ったところ、銀河中心近くの緑色のポイント、明るいX線の輝きを発見したのです。
これは、後にチャンドラX線観測衛星により、この銀河で4番目に明るい超高輝度X線源(ULX)であることが確認されULX-4と名付けられましたが、すぐに消滅してしまったといいます。
10日間の内に、このような明るい天体が出現し、短時間で消滅する現象を捉えることは通常ありえないといいます。NuSTARの観測では、通常X線は緩やかな変化していくもので、今回のように観測するたびに大きく状態を変化させている天体を捉えることは驚きだ、と報告者のEarnshaw氏は語っています。