液体を通すミクロの「人工葉脈」を搭載
人工葉には、本物の葉と同じように細くて小さな通路が通っています。
この中を流れる特殊な液体が、取り込まれた太陽光の力で化学反応を起こし、薬用の化学物質や燃料を作り出します。
今回の実験で生成されたのは、「アルテミシニン」と「アスカリドール」の2種類ですが、今後の研究でより多様な薬剤を生み出せるでしょう。人工葉は太陽光さえあればどこでも使用可能で、ノエル氏によれば「月や火星など地球外の場所でも機能する」とのことです。
しかし、人工葉のメリットはそれだけに留まりません。特定の病に効く薬を現地で作り出すことができるからです。
たとえばマラリアの治療薬を、マラリア感染のリスクが最も高い熱帯地域で製造し、医薬品を長距離輸送するコストや時間を省けます。
風土病に合わせた人工葉の活用により、多くの命が救われるかもしれません。ノエル氏は「大量生産も簡単なため、今後1年以内の実用化が期待できる」と話しています。
ゆくゆくは、個人に合わせて「頭痛に効く人工樹」や「発熱に効く人工樹」をつくれるのではないでしょうか。「薬のなる樹、一家に一本」という時代が来るかもしれませんね。