Point
■インドネシアで深刻な森林火災が続いており、その影響で空が真っ赤に染まるという現象が発生
■煙害は同国ないだけでなく、マレーシアやシンガポールにもおよび、すでに数十万単位の被害者が出ている
■空が赤く染まるのは、光の波長よりも小さな微粒子より光が散乱される「レイリー散乱」が原因
先週土曜日、インドネシア・ジャンビ州で撮影された空の映像がTwitter上で波紋を広げています。
人為的な森林火災が原因で、空が真っ赤に変化している様子を収めたものです。日本でも度々空が赤くなり話題になりますが、それとは比べ物にならない程の赤さです。
ツイート内には、「これは火星ではなく、地球です」という一文が見られます。
Ini sore bukan malam. Ini bumi bukan planet mars. Ini jambi bukan di luar angkasa. Ini kami yang bernafas dengan paru-paru, bukannya dengan insang. Kami ini manusia butuh udara yang bersih, bukan penuh asap.
Lokasi : Kumpeh, Muaro Jambi #KabutAsap #KebakaranHutanMakinMenggila pic.twitter.com/ZwGMVhItwi— Zuni Shofi Yatun Nisa (@zunishofiyn) September 21, 2019
インドネシアでは、乾季になると毎年森林火災が多発していますが、その中でも今年は最も深刻な被害が発生しています。
同国防災庁の調査によると、火災は3000ヶ所以上で多発しており、すでに約32万8千ヘクタールが焼失しているとのこと。煙害により数十万人の被害者が出ており、学校の閉鎖や空港の欠便が続出している状況です。
農地開拓のための「野焼き」が原因
インドネシアの森林火災は毎年発生していますが、その多くが農地開拓のための野焼きによるものです。
深刻化する地球温暖化が森林を乾燥させ、火の回りも悪化し、そして火災が温室効果ガスを排出することで地球温暖化の進行に拍車をかける悪循環となっているのです。
また、火災による煙害は同国内だけでなく、近隣のマレーシアやシンガポールにも及んでいます。
Indonesia fires are heavily impacting #AirQuality & #airpollution across the region as shown in latest #Copernicus Atmosphere Monitoring Service forecasts ⬅️total column carbon monoxide ↗️biomass burning aerosol ↘️surface PM2.5. Latest charts at https://t.co/DjET8FFt84 pic.twitter.com/bgJzvB51ES
— Mark Parrington (@m_parrington) September 16, 2019
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの気象学者トーマス・スミス氏は「一度火災が発生してしまうと、屋内に避難する以外に煙害から逃れる方法はない」とBBCに話しています。
不運なことに、インドネシアには建て付けの悪い住宅も多く、屋内に避難したとしても、煙が隙間から漏れ入ってくることもあるようです。
火災は乾季が続く7月から11月頃まで消えないそうで、今後も被害が拡大すると考えられます。
また空が赤く見える原因について、シンガポール社会科学大学のKoh Tieh Yong氏は「太陽光の様々な波長が、上空に溜まった煙を通してフィルタリングされることが要因」と説明します。
この現象は「レイリー散乱」と呼ばれており、空が青く見えたり、夕暮れ時にオレンジ色に見えるのもこれが原因です。
最近では、ブラジルの熱帯雨林でも大規模な火災が発生したばかり。温暖化を止めるために必要な森林が、次々と消失の危機に合っています。地球滅亡のカウントダウンは、すでに始まっているのかもしれません。