Point
■運転スキルを身につけたマウスは、ストレス促進に関わる「コルチゾール」の数値が下がった
■さらに、ストレスレベルは、遠隔操作される車に乗るときよりも、自ら操作するときの方が低い(自己効力感)
ラットにはドアを押し開けたり、迷路を解決する能力があることが以前から分かっています。しかし、あまり複雑性を必要としない行動のため、このような実験で知られるラットの認知機能は限られていました。
そこで今回、リッチモンド大学(米)の研究チームは、ラットに「車の運転」という複雑な操作を学習させました。すると、訓練を受けたラットは、見事にハンドルを操り、ドライブテクニックを習得できることが判明したのです。
さらにラットが自ら車の操縦をすることで、ストレスレベルが大きく下がることも明らかになっています。
研究の詳細は、10月16日付けで「Behavioural Brain Research」に掲載されました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0166432819311763#!
見事なドライブテクニックを習得
研究チームは、ラット専用の車として車輪を付けた透明の小さなプラスチック容器を用意しました。容器には3つの入力装置(ハンドル)が搭載されており、前足を使って操縦することで、右折・左折・直進と3方向に動かせます。
複数のラット(メス6匹、オス11匹)を訓練後、4平方メートル四方のスペースで運転させました。運転報酬として、ラットは目的地に着くと好物のシリアルを獲得できます。
結果、訓練されたラットは、見事なドライブテクでシリアルまでたどり着くことができました。
直進や旋回もお手の物。この調子だと縦列駐車もできそうです。
研究主任のケリー・ランバート氏は「ラットの脳や神経システムは、当初予想されていたより柔軟で、発達し続けることができる」と指摘します。