Point
■450年ほど前に爆発した星「ティコの星」は現在もボール状に拡大を続けている
■ボール状に膨張する理由については不明だが、今回の研究で、爆発が星の中の複数地点で起きたことが関係している可能性が浮上
今から450年ほど前、地球から1万光年離れた場所で星の大爆発が起こりました。その光はあまりに強烈で、地球からでも肉眼で見えるほどだったといいます。
当時の宗教観では「神が創りし宇宙は永遠に不変不動のもの」と考えられていたため、夜空に突如現れた光に、人々は驚きを隠せませんでした。
その後、デンマークの天文学者ティコ・ブラーエにより、1572年に詳しい観測記録が残されたことから「ティコの星」と呼ばれるようになりました。
以来、このボールのように膨張を続ける星の残骸は、天文学者たちから興味の的。というのも、ボール状に拡大する理由がいまだ謎に包まれているからです。
しかし今回、NASAの新たな研究により、1つの仮説が浮かび上がってきました。
昼間でも見えた強烈な光
正式名称を「SN 1572」と呼ぶ「ティコの星」は、これまで肉眼で見えた8つの超新星の1つとして知られます。
1572年から1年以上にわたって肉眼で見ることができ、最も明るい時期は昼間でも確認できたそうです。
2000年にNASAの「チャンドラX線観測衛星」によって観測が開始されたティコの星ですが、そのときに星の残骸が今も膨張し続けていることが判明しました。
観測データから、ティコの星は「Ia型超新星」とわかりました。
Ia型超新星は、連星の中の白色矮星が爆発することで生じます。伴星から白色矮星に向かってチリやガスが流れ落ち、保持できる質量の限界(チャンドラセカール限界)を越えると爆発するのです。