人類の未来に悲観的な人類
研究が行いたかった本題の質問は、他にあります。それは人類が長期的に良い未来を築き上げていくというシナリオを十分被験者に伝えた上で、人類の滅亡に対する質問を行ったのです。すると圧倒的多数の回答者が、完全な絶滅は他に類を見ない悲劇であるという評価をしたのです。
ここからわかるのは、人類の未来にあまり明るい展望を期待していない人たちが多いという事実です。
明るい未来像を想像できないために、人類の絶滅をあまり大きな悲劇と捉えず、関心も抱かないのでしょう。
現代は、気象問題を始めとして終末論的な未来を語る人が多くいますが、これは逆に人類の滅亡に対して興味を失わせる原因になる可能性があると研究者たちは語っています。
むしろ明るい未来を語る楽観論の方が、人類の問題を真面目に考えようとする場合有益な可能性があります。明るい未来を想像するからこそ、人類の絶滅をこの上ない悲劇として問題視することができるのです。
確かに、将来に絶望している人ほど死にたがるのは当然のことです。人類の問題についても、明るい未来だけを想像する楽観主義のほうが、真面目に地球の問題に取り組んでいる人たちなのかもしれません。