2人用MRIの可能性と課題点

開発された2人用MRIでは2人が一緒にMRIの中に入れるようになっています。隣接する脳から別々の信号を読み取るために専用のペアヘッドコイルが必要になり、MRIに入る2人はお互いに見つめ合いながらスキャンされます。
初期テストで、MRIで測定されるパートナーは、互いの唇に指で触れ合いました。MRIは唇に触れた時の感触による神経活動と、指が触れたことの視覚認識による神経活動の両方を記録できました。
現段階ではここまでの結果しか得られていませんが、NSFの神経科学者のエレンによると、「将来の研究では、空気を読んだり相手に共感させたりするときの脳の働きを知ることができる」ようです。
ただし、2人用MRIとその利用については、多くの課題があると考える人も多いようです。fMRIの測定には少しの時間が必要なので、2つの脳の瞬間的な神経作用を測り損ねてしまうかもしれないからです。
また、測定される状況は普通の状況ではない(鼻先3センチに見知らぬ人の顔がある)ので、「通常の社会的相互作用とはなり得ない」とも指摘されています。
2人用MRIはユニークで発展途上の技術ですが、自閉症の子供と親のやり取りの際の脳の働きなど、これまでに見過ごされていた点を解明するための大きな可能性を秘めています。