人間にもウーパールーパーと同じ再生遺伝子がある?
一方、近年行われた他の研究では、ウーパールーパーと人間が同じ遺伝子を使って組織の再生を行っていたことが発表されています。
共通する遺伝子はmiRNAといって、人間では関節にある軟骨組織において働いている遺伝子です。
人間の関節部の軟骨は、以前から他の組織よりも高い再生力があると知られていましたが、研究によって、その再生力がウーパールーパーと同質のものである可能性が出てきました。
人間では手足の再生には使われなくなったmiRNAですが、進化の過程で失われることなく、すり減った軟骨組織を素早く再生させる因子として残っていたのです。
もしmiRNA以外にもウーパールーパーと共通する再生機構が人間に眠っているならば、ちょっとした刺激で人間の再生力を活性化できる可能性もあります。
研究者たちは、ウーパールーパーの再生の仕組みを探ることで、さらなる人間の隠された再生能力を掘り起こせるのではないかと考えています。
もし医療への応用が可能になれば、四肢を初め、あらゆる臓器が再生可能になる可能性もあるでしょう。
ただし、脳の再生には少しばかり注意が必要です。
病気や怪我で一部の脳を失ったヒトに「脳の再生」を行えたとしても、記憶や人格まで戻ることはないからです。
無闇に脳を再生した結果、別人が起き上がってくる…といったこともあり得るかもしれません。