ホライモリは動かなくても生きて行ける
これまでの研究で、ホライモリはその気さえあれば、数十メートルの距離を一気に泳いで移動できることが知られています。
しかし、実際にはめったに動くことはありません。
その原因のひとつは、洞窟内にホライモリを食べる捕食者がいないことです。逃げる必要がないために、運動能力もいらないのです。
またエサは水生昆虫や小型の甲殻類などですが、洞窟環境ではお互いに目が退化しているために、派手な狩りは行われず、エサが自分からそばにやってくるまで、ホライモリはひたすら待ち伏せ、機会が来れば一気に飲み込みます。
そのため、摂食動作はほとんど距離移動を伴わないものになります。
楽な暮らしのように思われますが、待ち伏せに徹するということは、エサが来なければ永遠に食べられないことを意味します。
そのため、エサがない間は代謝を限界まで落としエネルギー消費を抑えることで、数年間もエサを食べずに生きていけるように進化したのです。
結果ホライモリは、野生環境においてナマケモノを遥かに上回る「不動性」を手に入れたのです。