- ミャンマーで見つかった琥珀中に、1億年前のハチが発見され、新種特定される
- ハチの体や同じ琥珀中には、花粉や寄生虫も見つかっており、当時の自然環境を知る重要な鍵となる
アメリカ・オレゴン州立大学の研究により、ミャンマーで見つかった琥珀の中に、約1億年前のメスの原始バチが発見されました。
さらに、この個体は、スズメバチからミツバチに進化するプロセスの途中にある新種と特定されています。
また、ハチの体には、花粉や寄生虫が付着しており、当時の生息環境や生態系を知る手がかりとなるようです。
研究の詳細は、1月29日付けで「BioOne」に掲載されました。
https://bioone.org/journals/Palaeodiversity/volume-12/issue-1/pale.v13.a1/Discoscapidae-fam-nov-Hymenoptera–Apoidea-a-new-family-of/10.18476/pale.v13.a1.full
スズメバチからミツバチへの進化段階にある?
琥珀中に保存されたハチの化石はこれまでにも数多く見つかっていますが、そのほとんどが、過去6500万年前までのものです。そのため、すでに現代のハチの形態によく似たものが多く、新規の情報を得ることが困難でした。
ところが今回見つかったハチは、白亜紀(1億4500万年〜6600万年前)の中期に生きた個体であり、ハチの原初的な姿に近い形態を留めています。
特に貴重なのは、この個体がスズメバチからミツバチへの進化途中にあることです。
あまり知られていませんが、蜜や花粉を主食とするミツバチは、肉食性のスズメバチから進化しました。
この個体には、羽毛状の体毛や丸みを帯びた前胸部、後ろ足に生えた1対の棘など、現代のミツバチに近い特徴が見られる一方、頭部の非常に低い位置に生えた触覚や翅の支脈など、スズメバチと同じ特徴も持っています。
つまり、この化石は、ハチが肉食から草食に変化した経緯を知る大きなヒントとなるのです。
また体毛に付着した数多くの花粉から、このハチは死ぬ間際に何らかの花に止まっていたことが伺えます。花粉を調べることで、当時の植生の秘密を知ることもできるでしょう。
花を訪れていたもう一つの理由として、ハチの体や同じ琥珀中に見つかった21匹の寄生虫の存在が挙げられます。
この寄生虫は、現代のハチにも見られるものです。普段は花の中におり、蜜を吸いにきたハチにしがみついて、ともに巣に戻り、ハチが残したエサなどを食べます。
研究チームは「寄生虫がハチの脚や翅に絡まったことで飛翔困難に陥り、木の樹脂の中に墜落した可能性がある」と推測しています。
送粉者としてのハチが自然環境の繁栄にとって重要なのは周知の事実。ハチの生態や進化の歴史を詳しく知ることは、地球の自然を守ることにも繋がるでしょう。