火星形成の新モデル
火星の形成は、火星隕石に含まれるタングステンの年代測定から、太陽系誕生の約200万〜400万年後の期間に急速に行われたと考えられています。
しかし今回の研究では、その後初期の火星に大規模な衝突が起こったことで、タングステン同位体のバランスに変化が起きた可能性があるといいます。
その場合、最大で2000万年ほど、火星の形成期間の予想はズレる可能性があり、火星は考えられているよりずっと長い期間をかけて形成されたかもしれないのです。
この新モデルは、火星が早期の形成された後成長を止め、降着物質は比較的小さな小惑星などの衝突でもたらされたという従来のモデルとは異なる解釈をもたらしています。
マントルやコアという構造を持った巨大物体が火星に衝突していた場合、それは火星の親鉄性元素の濃度に変化を与え、マントルにもさまざまな量の放射性物質を追加したと考えられます。
今後の火星探査では、火星の岩石のサンプルを地球へ持ち帰るミッションも計画されています。
こうした火星の岩石に含まれる元素の変動を調べれば、火星の初期に何が起きたのかわかるかもしれません。
火星を完全に理解するためには、この惑星の非常に初期に起きた非常に高エネルギーの衝突が果たした役割をよく理解する必要がある、と研究者は語っています。
初期の太陽系では、かなりダイナミックなことが起こっていたのかもしれません。