犬の愛は遺伝子に刻まれている
犬の科学において重要な進歩の1つは、オキシトシンに関する研究です。
オキシトシンは人同士の感情的な絆を強固にするもので、身体の痛みを和らげたり、心を癒したりする脳内化学物質です。
日本の麻布大学の菊水健史氏らの研究によると、人間と犬がお互いの目を凝視するときに、人間のオキシトシンが3倍に増加することが判明しました。加えて、犬の側のオキシトシン分泌も認められています。
また、遺伝学的にも犬の特別性は際立っています。
遺伝学者であるブリジット・フォンホルト氏は、2009年に、犬がウィリアムズ症候群の人々がもつ遺伝子変異と類似したものを持っていることを発見したのです。
ウィリアムズ症候群にかかった人は、他人に対して異様なほど親愛で馴れ馴れしい態度をとることが知られています。
犬の遺伝子にもウィリアムズ症候群と同じ遺伝子変異が確認されており、犬は生まれながらに親愛の情を表わせるようになったと考えられるのです。
この変異の時期が分かれば、14,000年前に犬が家畜化したプロセスを解明できるかもしれません。
加えて、スウェーデンと英国の2019年の研究によると、人間側の遺伝子も犬を飼うことに影響を与えると示唆されています。犬と人間は遺伝的に特別な関係なのかもしれません。
科学の進展は、犬が愛を感じ、愛を必要とする動物であることを明らかにしています。これらは、飼い主の犬に対する接し方に大きな影響を与えるものです。
犬が人間に望んでいることは、彼らに道を示し、そして社会的欲求を満たすこと。
つまり私たちは犬に、「思いやりのあるリーダシップ」と「積極的な援助」を与える必要があるのです。