- これまで発見された太陽系外惑星は、すべて円盤部の「薄い円盤」内に位置していた
- 今回、観測史上初めて、「厚い円盤」内で系外惑星が発見された
天の川銀河には、現在、4000を超える太陽系外惑星が発見されています。
サイズや距離はさまざまですが、それらに共通するのは、すべて円盤の中でも中央部分の「薄い円盤(thin disc)」内に位置していることです。
詳しい説明は後述しますが、天の川銀河の円盤部(ディスク)は薄い円盤部と厚い円盤部に別れており、後者で系外惑星が発見されたことはありません。
ところが今回、NASAの宇宙望遠鏡「TESS(トランジット系外惑星探索衛星)」により採集されたデータを分析した結果、「厚い円盤(thick disc)」内にて、観測史上初となる系外惑星が発見されました。
この発見により、これまで謎だった、厚い円盤部での惑星の形成メカニズムの秘密が明らかになるかもしれません。
論文のプレプリント版が、3月10日付けで「arXiv」に掲載されています。
https://arxiv.org/abs/2003.04525
初発見となる「厚い円盤部」での惑星
私たちの銀河系は,アンドロメダ銀河などとよく似た渦巻銀河で,中心部分がふくらんだ円盤型をしており、円盤の直径は10万光年にも達します(上図)。
私たちの太陽系が位置しているのは,銀河系の中心からはずいぶん外れたところ。夜空に見える天の川は,地球の位置から私たちの銀河系を,円盤に沿って横向きに見たものなのです。この円盤に沿った面のことを「銀河面」と呼びます。
今回発見された系外惑星は、LHS 1815という恒星を公転しているため、「LHS 1815b」と命名されています。
サイズは地球の約1.088倍とほぼ同じですが、非常に高密度の岩石惑星であり、質量は地球のおよそ8.7倍です。
LHS 1815bは、主星の周りをわずか3日という猛スピードで公転しており、きわめて強い放射線を受けていると思われます。
銀河面のはるか上を飛んでおり、計算の結果、(銀河面からの)最大距離はおよそ5870光年に及ぶそうです。
しかし、この発見にどのような有益性があるのでしょうか。