臨床試験まで進んでいるワクチン一覧表
現在開発中のワクチンで、臨床試験まで進んだものがいくつかあります。
その中から種類ごとに、臨床試験中のワクチンをいくつかピックアップして紹介します。
【最新! 臨床試験中の次世代ワクチン一覧】
ワクチン名 | 開発状況 |
---|---|
mRNA-1273 (米国) |
mRNAワクチン。カプセルにRNAを入れて注射する。※下記参照 |
Ad5-nCoV (中国) |
DNAワクチン。無害なウイルスにDNAを細胞まで運ばせる。 |
INO-4800 (米国) |
皮膚を通過するDNAワクチン。 |
LV-SMENP-DC (中国) |
遺伝編集した合成DNAワクチン。 |
Pathogen-specific aAPC (中国) |
遺伝編集した合成DNAワクチン。 |
開発状況をみると、アメリカと中国が一歩先を進んでいるようです。
mRNA-1273を投与した患者から抗体を確認(2020.05.19 追記)
ですが、5月18日、アメリカの開発していたRNAワクチンである「mRNA-1273」に大きな動きがありました。
ワクチン開発を行っていたモデルナ株式会社が自社ページで発表したプレリリースによると、mRNA-1273を投与された全ての患者から、ウイルスの感染を予防する中和抗体が確認されたとのこと。
中和抗体とは、ウイルスの外周部に結合することで、ウイルスの活動を妨げ感染力を直接的に奪う抗体であり、感染後にも効果を発揮する力を持っています。
つまり「mRNA-1273」はワクチンでありながら、感染後の治療にも効果が期待できる万能性も秘めているのです。
モデルナは間もなく600人規模の次の治験をはじめ、7月には数千人が参加する最終段階の治験を行う予定であるとのこと。
ワクチンでもあり治療薬にもなりえる力をもった「mRNA-1273」は、ウイルスとの闘いを次の段階に引き上げることになりそうです。
この他にも、4月11日付の英「Times」の報告によって、イギリスのオックスフォード大学が開発中のChAdOx1 nCoV-19ワクチン(DNAワクチン)が、「8割の確率で効果が得られる」ことが明らかになっています。
今後のワクチン戦争はどうなるのか
現在、のべ20近くの機関がワクチン開発に取り組み、しのぎを削っています。
ワクチン開発に遅れをとった国は、開発に成功した国からワクチンを輸入する許可をしてもらうかわりに、外交的に不利な妥協を強いられることも考えられます。
その中には、領土問題や経済問題、知的財産権といった、非常に敏感な問題も含まれるでしょう。
なによりも、自国の国民の生死が、他国の政府や製薬会社の機嫌次第という状況では、健全で対等な外交は絶望的です。
現在アメリカでは、医療従事者やワクチンを開発する研究者を「兵士」と呼んで高揚していますが、現実の外交を考えると、あながち間違った表現ではなさそうです。
先に紹介した日本国産DNAワクチンは、まだ臨床試験に進んでいませんが、開発されれば日本人に適合したワクチンとなる可能性が高いだけでなく、ワクチン外交で不利に立たされないための布石にもなるでしょう。