なぜ標的だけを殺すことが重要なのか?
これまでの抗生物質は病原菌だけでなく、人間にとって有用な善玉菌や、全く無関係な菌も含めた無差別な殺傷を行います。
また便や尿などにより抗生物質が環境に流出することで、無差別殺戮は川や海といった地球規模で引き起こされるようになりました。
その結果が、超耐性菌(スーパーバグ)の出現です。
細菌は自分の獲得した耐性を他の種の細菌とシェアする能力があり、地球各地で殺戮から生き延びた細菌が互いの耐性を交換するようになったからです。
ですが、バクテリオシンによる抗生物質は狙った細菌だけを破壊ができるために、余計な犠牲は出しません。
これは「人類」 VS 「全微生物」の対決構図を「人類」 VS 「病原菌」に縮小できることを意味します。
そして余計な犠牲がなければ、細菌たちの耐性獲得は十分なほど緩やかになるはずです。
この研究は2020年4月14日付で科学誌「nature」に掲載されました。