- 金星は自転速度が非常に遅く、一回転するのに地球時間で243日かかる
- 金星には自転方向と同じ向きに、自転の60倍という速度で流れるスーパーローテーションという風が吹いている
- JAXAの金星探査機「あかつき」は、これが昼夜の温度差が生む熱潮汐波の影響であることを明らかにした
金星は非常にゆっくりとした自転をする惑星で、一回転するのに地球時間で243日もかかります。
公転周期が地球時間で225日ということを考えると、一年より一日の方が長いというすごい星です。(ただ自転方向が公転方向と逆なので、実質金星の一日は地球時間で117日です)
そんな金星には、とてつもない突風が吹き荒れ、惑星を周回しています。この風はスーパーローテーションと呼ばれていて自転速度の60倍という速度で吹いていて、地球時間で4日間で金星を一周します。
この猛烈な風は1960年代の調査で発見されたものですが、発見当初は惑星を4日で一周する風なんてありえないと無視されていました。
そのためこのすさまじい速度の風が、一体どの様に発生して、その速度を維持し続けているかは、これまでずっと謎となっていました。
謎の多い金星の気象を調査するJAXAの金星探査機「あかつき」は、このスーパーローテーションがいかにして維持されるかを明らかにしたのです。
金星探査機「あかつき」
「あかつき」は、紫外線や赤外線観測で、金星の雲の写真をとり続けています。
最初「あかつき」は金星の周回軌道に乗ることに失敗してしまい、5年も太陽の近くを漂流していました。
観測装置の故障なども心配されていましたが、なんとか金星周回軌道に乗ることに成功して以降は、高品質な観測データを取得し続けています。
金星のスーパーローテーションについて調べるには、非常に高い精度の観測が求められていて、これまで世界の誰も成し遂げることができませんでした。
あかつきは金星の雲を詳細に撮影することで、様々なポイント風の微細構造を調べることに成功し、スーパーローテーションに対する乱流の効果なども推定することが可能となりました。