太陽に似た宇宙の星たち
今回の研究者たちは、ケプラー宇宙望遠鏡が2009年から2013年の間に観測した約15万個もの主系列星(太陽同様、寿命の途中にある恒星)の明るさの変動記録を調査しました。
この膨大なサンプルから、研究者たちは、太陽と同程度の重力、表面温度などを持つ恒星を絞り込んでいきました。
特に重要なのは自転周期です。星の自転は磁場の強さなどにダイレクトに影響するもので、太陽と同程度の自転周期を持っていることが活動量を比較するためには重要な要素になります。
太陽の自転周期は地球時間で約24.5日です。そのため、サンプルからは大体20日から30日以内の自転周期を持つ星が選び出されました。
こうして最終的に調査対象の星は369個まで絞り込まれました。
星の活動は黒点の数によることをさきほど触れましたが、これは星の明るさにも変動を及ぼします。黒点が増えて活動が増すと、観測される星の明るさにも変動が生じるのです。
上は、太陽と同程度の恒星の比較画像です。画像の上が太陽で、下がサンプルの1つとなった恒星です。
表面の黒点の数や領域の大きさからして、だいぶ異なるのがわかりますが、注目するべきは左側に表示された明るさの変動を示すグラフです。
太陽はほとんど変化がありませんが、別の恒星では激しく明るさが上下動しているのがわかります。この明るさの変動はすなわち活動レベルの変動を示しています。
このデータは分析によると、太陽は平均の変動率が0.07%の圏内に収まっていたにもかかわらず、その他の恒星では5倍近くも変動の差があったのです。
太陽のような星のほとんどが、太陽よりもはるかに活動的であるという結果は、研究者たちにとっても驚くべきものでした。
同程度の規模の恒星がこれだけ活発であるという事実は、太陽も本来はもっと活動的であることを示しています。これがたまたま過去9000年の間、太陽が活動を弱めているだけなのか、何かもっと他の要因で太陽の活動が鈍いのかはまだわかりません。
しかし、他の恒星のような環境に地球があったとしたら、地球の周りは強い太陽嵐が常に吹き荒れているような状態になり、人類は電子機器など持つことが出来なかったでしょう。
そういう意味でも、太陽と地球は人類が生存するために奇跡的な環境だったと言えるのかもしれません。
私たちの太陽は、熱く燃え盛る激しい星に見えますが、他の仲間たちから見れば、おとなしいやつだったようです。