自分たちのフンで集団死?
調査では、計575個の骨断片が見つかっており、その中に幼年期から成年期まで、合わせて22体のナマケモノが特定されています。生息年代は1万8000〜2万3000年前で、一つの群れで生活したと考えられます。
また、骨周囲の土壌や化石化した植物を調べたところ、同地はかつて植物の繁茂した湿地帯だったことが判明しました。植物には、ナマケモノが噛んだ痕や消化された痕が見つかっています。
そして最も重要な点は、植物や土壌がナマケモノたちのフンで飽和していたことでした。これはナマケモノたちが、湿地帯をトイレとしても使ったことを示します。
研究チームは「おそらくナマケモノたちは、現代のカバがするのと同じように、湿地帯に身をうずめたのだろう」と推測します。カバは、虫除けや暑さ対策として泥の中に身を浸すことがよくるからです。
ところが、カバの泥の中も、自らの排便したフンで飽和することがあります。フンで汚染された植物や泥水を口にすることで病気にかかるカバは、現在でも報告されているのです。
おそらくナマケモノたちも、これとまったく同じ運命をたどったのでしょう。フンに含まれる病原菌に冒され、そのまま集団で悲惨な最期を遂げたのです。
もしかしたら、今のナマケモノより大きく、摂取量が多くなったことも悲劇のキッカケとなったかもしれません。
研究の詳細は、4月15日付けで「Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology」に掲載されました。