無尽蔵の毛の供給源
今回の研究は皮膚移植と発毛に革新的な影響を与えました。
これまでの皮膚移植は他の場所から切り取って移し替えるか、単純な構造をした単層の表皮を移植するかのどちらかでした。
しかし、今回の研究により、たった1つの皮膚細胞からでも、iPS細胞を経由することで、完璧な皮膚を無尽蔵に作れるようになったのです。
これは薄毛治療の方法が根本的に変わる他、研究用の人間の皮膚をいくらでも調達できるようになったことを意味します。
また医療研究に用いることで、皮膚がんの治療薬などを、疑似的に人体実験することも可能になるのです。
さらに火傷や怪我が治る過程を何度でも細かく分析できるため、外傷の治療技術を新しい次元に押し上げることができるでしょう。
人工的な皮膚と毛は、無限の可能性を秘めているのです。
研究内容はアメリカ、ボストン小児病院のイ・ジュン氏らによってまとめられ、6月3日に最も権威ある学術雑誌「nature」に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2352-3