シルクは天然のコーティング薬になる
野菜や果物といった生きた食品をコーティングして長持ちさせる技術は、現在まで多くの研究者によって研究されています。
コーティングの一般的な役割は、生きた食品を酸素や水蒸気から「適度に遮断」し細胞呼吸を「適度に抑制」することで成し遂げられます。
そのためコーティング剤にはフィルムとしての強さと、水を拒絶する疎水性の両方が求められます。
しかしその両方の性質を持つ安全なコーティング剤はなかなかみつかりませんでした。
しかしマレリ氏による発見により、実はシルクが、この性質を完全に備えていることが明らかになりました。
シルクを構成するフィブロインと呼ばれるタンパク質は、上の図のように適度な疎水性のパーツを持ち、集まると自然に繊維を構成する性質(自己組織性)があります。
そのため適切な濃度で水に混ぜて懸濁液を作ることで、適度な通気性を持つコーティング剤にすることができるのです。