人工赤血球のベースを作る
赤血球の持つ高い柔軟性を模倣するために最適な人工物質は、高分子ポリマーです。
しかし現在の技術では、大量の高分子ポリマーを赤血球のサイズに加工し内部を空洞にするのは困難です。
そこで研究者はまず、天然のヒト赤血球をシリカ(SiO2)でコーティングしておわん型の鋳型を形成し、その上に高分子ポリマーを塗りつけることにしました。
高分子ポリマーが安定したあと、そのシリカと赤血球を除去することで、赤血球と同じサイズと同じ柔軟性を持つレプリカを手に入れました。
そして最後にレプリカの上に、断片化させた赤血球の膜を張り付けました。
こうして出来上がった人工赤血球は天然の赤血球と同じサイズ、形状、表面タンパク質を持ち、狭い毛細血管の中でも変形しながら通過することができました。