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渡り鳥の鳴き声が20年間で変化していた!? 鳥もバズりを気にするのかも(北米)

2020.07.05 Sunday

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Credit:The Cornell Lab
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  • カナダからアメリカにかけて生息する渡り鳥ノドジロシトドは最近カナダ全域で歌い方が変わった
  • 越冬時に異なる地域の鳥たちが混じり合い新しい歌が広まった可能性が高い
  • 新しい歌の方が広まった原因は不明だが、単に鳥たちの間でバズっただけと思われる

人間にとっては何気ない背景音にしか聞こえていない鳥たちのさえずりですが、そこには決まった曲調というものがあります。

普段意識していなくても、聞き慣れていた鳥のさえずりが、ある日変わってしまっていたら、違和感を覚えるかもしれません。

実際、今回の研究者Otter氏は、引っ越しをきっかけに聞き慣れた鳥の歌声が変わっていることに気が付きました。

それは地域的な歌い方の差だと思っていたのですが、気がつくといつの間にか、カナダ全土でその鳥の歌い方は西部の歌い方に変わっていたのです。

Otter氏が知る限りこれは前例のない出来事でした。

一体鳥たちに何があったのでしょうか? Otter氏は、鳥のさえずりのデータを集めているアマチュア研究者の協力のもと、この謎に挑む研究を始めたのです。

歌い方を変えてみた

対象となったのはノドジロシトドというノドの辺りが白く、眉が黄色いホオジロの仲間です。シトドとは日本の古い言葉でホオジロのことを指します。

この鳥は、夏場はカナダで過ごし、冬場はアメリカに渡って越冬する渡り鳥です。

研究者のOtter氏は1990年の後半にカナダの西部へ引っ越しました。

すると、今まで聞き慣れていたノドジロシトドの歌声が違うものになっていたのです。

通常のノドジロシトドはさえずりの最後に3つの音を震わせる歌い方をします。しかし、カナダ西部のノドジロシトドはさえずりの最後に2つの音を震わせる歌い方をしていたのです。

言葉で言われてもピンと来ないと思うので、研究者のアップしている参考動画を聞いてみるとその違いがよくわかります。

動画の最初が3音で終わる歌。後半が2音で終わる歌です。

この小さな歌い方の違いは、Otter氏が気がついた2000年辺りでは、カナダ西部だけのローカルな歌い方に過ぎませんでした。

しかし、2019年になるとカナダのどこで聞いても、2音で終わる歌い方になっていたのです。

Otter氏はアマチュア科学者が集めた、1950年以降に記録された1785羽のオスのノドジロシトドの歌のデータを使い、状況を分析してみました

すると2000年から2019年の間に、2音の歌はカナダ西部のブリティッシュコロンビア州から、3000kmも離れたオンタリオ州まで伝わって、少なくとも1950年代から続いていた伝統的な3音の歌を一掃してしまっていたのです。

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さえずりの変化。青が2音の歌。赤が3音の歌。2000年にはカナダ西部の一部にしかなかった2音の歌が、2019までの調査では大きく拡がりを見せている。/Credit:Current Biology,Ken A. Otter et al.(2020)

スズメや他の鳥でもさえずりの曲調が変化するというのは珍しいことではありません。

しかし、これはいわば鳥たちの方言と呼べるもので、あくまで地域的な違いに留まっており、他の地域へ広がるということはありませんでした。

ところがノドジロシトドの2音の歌はカナダ西部の方言だったにもかかわらず、記録的な速さで大陸を横断し、東部地域まで広まってしまったのです。

これは前例のない出来事でした。

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