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渡り鳥の鳴き声が20年間で変化していた!? 鳥もバズりを気にするのかも(北米) (2/2)

2020.07.05 Sunday

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方言がバズってしまった?

歌の変化がどうやって遠い地域の鳥たちの間へ広まっていったかについては、この鳥が渡り鳥だから、という理由で説明をつけることができます

たとえば、同じホオジロの仲間でミヤマシトドは、渡りで越冬した際、越冬地で一緒に過ごした他の地域の歌い方の要素を取り入れることがある、という報告があります。

そこで、これを実証するため、研究チームは、ブリティッシュコロンビア州の50羽のノドジロシトドのオスを捕まえてジオロケーター(鳥の足や背につける小さなセンサー)を取り付けて、彼らが渡りで移動を経験した後、装置を回収して分析してみました。

すると同じ地域から飛び立った鳥たちでも、越冬地は西へ東へ広範に移動しており、一部はロッキー山脈も越えていました。

こうなると2音の歌は十分に他の地域に住むノドジロシトドたちにも伝わっていた可能性があります。

異なる地域ごとの鳥たちが一緒に越冬すれば、他地域の新しい歌を覚えることは十分に可能です。

しかし、なぜ新しい2音で終える歌が、彼ら全体に採用されたのかははっきりとしません。

鳥たちは求愛行動としてオスがメスに向けてさえずります。通常メスたちは自分たちの地域の歌を好む性質があるため、歌い方はあまり変化しません。

しかし、ノドジロシトドのメスは状況が違うのかもしれません。彼女たちは聞き慣れた歌より、あまり聞き慣れない方の歌を好む可能性があります

そうなると、新しいタイプの歌い方ができるオスが有利になります。

もしそうだとすると、また時間がたてばノドジロシトドの歌い方は全体で急速に変化していく可能性もあります。

そのため、この現象は何なのか、という点について研究者のOtter氏は「今まで気づかなかっただけかも知れない」という可能性を認めています。

鳥たちはひょっとすると定期的に広域で歌い方を変えていて、単に人間たちがそれに気づいていなかっただけなのかもしれません。

現在はネットを通じて広大な地域の鳥のさえずりデータが、野鳥を調査するアマチュア科学者たちのサイト上で、毎年共有されています。

これが他の種でより一般的な現象であるかどうかは、今後調査していく中で明らかにされるでしょう。

画像
Credit:depositphotos

とりあえず、現状では人間の流行語と同じ様に、鳥たちの間で地域の方言が一時的にバズってしまった、と説明する他ない現象のようです。

ネットでなんでも語尾に「ンゴ」と付けたり、猛虎弁で話す人が増えるというのと同じ様な出来事なのかもしれません。

鳥だからそんなことがないとは言えないでしょう。

この研究は、北ブリティッシュコロンビア大学の生物学教授,Ken A. Otter氏を筆頭とする研究チームより発表され、論文は生物学に関する学術雑誌『Current Biology』に7月2日付けで掲載されています。

Continent-wide Shifts in Song Dialects of White-Throated Sparrows
https://doi.org/10.1016/j.cub.2020.05.084

鳥はなぜ酸素の薄いエベレストを越えて飛べるの?

reference: sciencealert/ written by KAIN
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