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全ての人類は実は耳ピクできる/Credit:depositphotos
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人は興味のある音を聞くとき「誰でも耳をピクピクできる」と判明! 制御する脳領域が神経化石として残っていた!

2020.07.09 Thursday

point
  • 一部の人間は2500万年前に失ったはずの耳を動かす能力があることが知られている
  • しかし実験を行った結果、耳を動かせない人にも音に反応して耳を動かす機能は残っていた
  • 耳の周りの筋肉の動きを感知することで指向性スマート補聴器ができる

マンガやアニメのキャラが聞き耳を立てているとき、耳がピクピクと動く描写がよくみられます。

7月3日に「eLife」に掲載された研究では、この耳ピク描写が誇張ではなく、実際に人間の耳で起きていることが明らかにされました。

多くの動物は耳を動かして、新しい音に注意を集中させますが、人間にもこの能力があることが判明したのは今回がはじめてとなります。

人類は高等霊長類に進化した2500万年前に耳を自在に動かす能力を失ってしまいましたが、耳の周りには耳を動かす筋肉の僅かな痕跡が残り続け、制御する脳の領域も「神経化石」(神経学的な化石回路)として存続していたようです。

研究の第一歩は身近な気付き

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進化のなごりだと思われていた耳介筋には役割があった/Credit:youtube Vox

人間を含む高等霊長類の耳は、外見上目立って動きません。

これは2500万年前、人類は高騰霊長類に進化する過程で、耳を動かす能力をほとんど失ってしまったからです。

しかしザールラント大学医学部のシュトラウス氏は、一部の人間が、自分の意思だけで耳をピクピクと動かすことができる点と、耳の周辺にある耳介筋(じかいきん)の存在に目をつけました。

そして、他の多くの「耳動かせない派」の人類も、もしかしたら耳を動かす能力を本質的に残しているのではないか、と考えたのです。

ただ、証明を肉眼だけで行うのは不可能でした。

そこでシュトラウス氏は、証明に筋肉の微弱な活動を測定できる表面筋電図(EMG)を使用する方法を思いついたとのこと。

仮説が正しければ「耳動かせない派」の耳の周りの僅かな筋肉が、周りの音に反応して表面筋電図(EMG)に活動が観測されるはずです。

次ページ2500万年前の忘れ物を2つの実験で炙り出す

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