老化を進めるのは鉄分濃度?
今回発見された5つの遺伝子マーカーは、これまでの研究で寿命に重要であると関連付けられたことはないものでしたが、一部はAPOEとFOXO3という老化プロセスや人間の健康に重要と指摘されているものでした。
その点からも、この研究の結果は老化について信頼性のあるものだと考えられます。
血中の鉄分は、パーキンソン病や肝臓病など加齢による疾患と関連していることが以前から明らかとなっていて、また加齢による感染撃退の能力にも影響することが指摘されています。
「鉄の過剰摂取」やそれを適切に分解できないことが、人間の寿命や、健康で暮らせる期間に影響を与えるようです。
血中の鉄分濃度はその大部分が食事によって制御されています。赤身のお肉などをたくさん食べるなどの行為は、高齢の場合、かなりリスキーになる可能性があるようです。
この研究はまだ始まったばかりで、血中の鉄分がどのように作用するかはまだ明らかではありません。
しかし、長寿や健康寿命に関連するゲノムの重要なターゲット候補が見つかったというのは非常に重要です。
今後は、長寿のために血中の鉄分を下げる薬なども開発されることになるかもしれません。
この研究は、英国エディンバラ大学の研究者Paul R. H. J. Timmers氏を筆頭とした研究チームより発表され、論文はオープンアクセスの科学雑誌『Nature Communications』に7月16日付けで掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41467-020-17312-3
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