画面奥から迫り来るドス黒い波、これは一体…?
この画像は、今月15日、米・アリゾナ州のピマ郡で撮影された光景です。乾いた地面を飲み込むように真っ黒な川がこちらに向かって流れてきます。
映像を投稿したピマ郡の職員によると、黒い川は「山火事による灰やススが降雨により流されてできた土石流」とのこと。
先月に発生したアリゾナ州の大規模な山火事(ビッグホーン・ファイア)が原因になっているようです。
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— Official Pima County (@pimaarizona) July 16, 2020
山火事のせいで土壌の性質が変化
先月の6月5日、アリゾナ州・ツーソンの北部に位置するサンタ・カタリナ山脈で山火事が発生しました。発火原因は、夜間に起きた落雷と判明しています。
その後、火災は瞬く間に広がり、山中の木々を焼き尽くしました。7月15日時点で、火災の大部分は鎮火していますが、山のふもとではまだ一部が燃えているようです。
これほど大規模な山火事だと、地面の有機物質がミネラル化して土壌の構造が変化し、(普通なら水によって流されることのない)栄養素や金属、毒素が土壌から放出されます。
その結果、焼け跡の地面は保水力や吸水力を失い、代わりに水を弾く疎水性が高まります。
すると、雨季に発生する降雨が地中に吸収されることなく、地上の灰やスス、枝を飲み込んで土石流となるのです。
カリフォルニア水科学センターは「焼けた土地で土石流を起こすのに必要な降水量は、焼けていない通常の土地よりもはるかに少ない」と説明します。
こうした黒く濁った水が近隣の川に流れ込むと、水生植物や藻類は光合成に必要な光を吸収できません。さらに、魚などの野生生物も視界が悪くなり、捕食ができず、生態系に異常が起こります。
また、汚染された水で大量死が起こる可能性もあるでしょう。土石流は、前触れもなく車道や公道に流れ出たりするため、山火事後の最も危険な二次災害となります。
山火事の被害は、数十年単位で生態系に悪影響を及ぼすため、今回発生した黒い濁流にも十分な注意が必要なのです。
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