私たちが「美しくあろう」とするのは、一言でいえば「種を残すため」です。美しくあることで異性を魅了し、子孫を残していきます。ゴージャスなクジャクの羽には人間でさえ魅了されてしまいます。
しかし、そんな「性的魅力」も「種の保存」といった観点からみれば好ましくないことがわかりました。11日付で“Nature” に掲載された最新の研究により、性的特徴を発達させた甲殻類が、性によって特徴の差が少ない種よりも10倍早く絶滅していたことがわかったのです。
High male sexual investment as a driver of extinction in fossil ostracods
自然に適合して生き抜いていくために「動物が性的な魅力を発達させるべきか」については、これまでにも多くの議論があります。しかし「化石」から性的特徴を見いだすのは困難なため、その議論はこれまで「生きている種」に限ったものでした。
しかし今回の研究により、研究者たちは “cytheroid ostracods” と呼ばれる甲殻類の化石から、性的特徴を確認することに成功しました。オスとメスは非常に似た形をしていましたが、特に「性的魅力がある」とされたオスは、ふつうのオスよりも大きな殻の持ち主であることがわかったのです。「大きいことはいいことだ」と思うかもしれませんが、そんなことはありませんでした。そのように、雌雄の間で特徴差が大きく表れた種に関しては、特徴差の少なかった種よりも絶滅も早いと、研究者たちが結論づけたのです。
この結果には、研究者たちも驚きの声をあげました。これまで種の保存のために有利であると考えられてきた「性的魅力」が「絶滅のリスク要因」となってしまったのです。研究者たちは、実質的に役に立たない「性的魅力の向上に努めた」種よりも、「環境に適応するためにチャレンジを続けた」種の方が結果的に長く存在できたのではないかと考えています。
当然、この研究結果だけでこれまでの考えをひっくり返すことはできません。しかし、同様の結果を示す研究が今後増えてくる可能性があります。
たとえば、特に男子が頑張る「筋トレ」も「性的魅力」を高める手段の一つです。
しかし、今回の研究がホントであれば、あなたの胸板が厚くなればなるほどに、私たち人類は滅亡へと近づいていることになります。筋トレもほどほどに、女子力も同時に高めていきましょう。
via: futurism / translated & text by なかしー
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