バクテリアは地球温暖化の救世主になるかもしれない
研究チームは氷に覆われていない14の場所から、122の土壌サンプルを入手し分析を行いました。
彼らが調査目的は、大気化学合成にリンクする遺伝子を見つけ出すことです。
これらの場所は、定期的な凍結と融解のサイクルをもっており、紫外線が強く、水分、炭素、窒素が極端に低い環境です。
こうした場所では、光合成を行う微生物さえ存在していることは稀です。それにもかかわらず、研究チームはこれらのすべての場所で、目的の遺伝子を豊富に発見することができました。
このことから研究チームは、大気中の炭素を直接栄養源に変える彼らの食事法は、私たちが考えているより、ずっと広く地球上に普及している可能性があるといいます。
つまり、私たちがまだ知らない潜在的な炭素吸収源が、極寒の環境下に存在しているかもしれないのです。
また、この研究は、微生物の大気化学合成が地球規模の炭素収支に貢献していることを示しています。研究チームは、地球温暖化の影響により、栄養不足の極寒の地でこうした微生物が増加している可能性あると推測しているとのこと。
まだ研究は一部の土壌の調査のみに限られていて、この微生物が世界的に活動する存在かどうかを確認できているわけではありません。これを明らかにするためにはさらなる研究調査が必要です。
しかし、もしかしたらこの生き物たちは、行き過ぎた地球温暖化の勢いをいずれは緩やかに食い止めてくれる存在なのかもしれません。
この研究はオーストラリアのニューサウスウェールズ大学(UNSW)の微生物学者Belinda Ferrari氏の研究チームより発表され、論文はオープンアクセスの査読付き学術雑誌『Frontiers』に8月12日付けで掲載されています。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmicb.2020.01936/full