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Credit:depositphotos,ナゾロジー編集部
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ハエを叩くのはなぜこんなに難しいの?世界を捉える速度「フリッカー融合頻度」がヒトと違っていた (2/3)

2020.09.11 Friday

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世界を捉える速度「フリッカー融合頻度」

こうした生き物の目や脳が画像を処理できる速度を「フリッカー融合頻度」と呼びます。

一般的には、その生物種が小さければ小さいほどフリッカー融合頻度は速くなります。これは小さいために神経の伝達距離が短くなるということも関係しています。

ケンブリッジ大学のRoger Hardie教授はハエの目の仕組みを研究し、そのフリッカー融合頻度を決定する実験を行いました。

Hardie教授が行ったのは、ハエの目の生きた光受容体に電極を挿入し、LEDのフラッシュにどれだけ反応するかという実験です。

結果、最速のフリッカー融合頻度を記録したのはキラーフライ(ムシヒキアブ)と呼ばれる種で、1秒間に最大400回のLED明滅に反応したのです。

キラーフライは別種のハエを空中で捕まえて食べてしまうという捕食性の種です。

ケンブリッジ大学の Paloma Gonzales-Bellido博士は、キラーフライの驚異的な素早さを示すために、ショウジョウバエを空中で捕まえる様子を動画で撮影しました

撮影は毎秒1000フレームの記録が可能なカメラが使用されました。

キラーフライのいる水槽にショウジョウバエを放つと、キラーフライは閃光のように飛び立ちました。

博士はその瞬間何が起きたのかわかりませんでした。気づけば次の瞬間、キラーフライは地面にショウジョウバエを組み敷いていたのです。

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キラーフライがショウジョウバエを空中で捕まえる様子。この間わずか1秒。/Credit:BBC

しかし、カメラのスローモーション映像には、飛び立ったキラーフライが、空中でショウジョウバエの周りを3周もして、前足でショウジョウバエを摑み取り地面に落としている様子が映っていたのです。

それはわずか1秒間の出来事でした。

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