海王星型に見えるがもとは木星型だった?
不思議なのは、なぜ大気が残っているのか? ということです。
この星系の太陽は若いため非常に強い照射を「LTT 9779b」に降り注いでいます。その場合、海王星のような惑星ではその大気を長く保つことはできないはずです。
では、この星がもともとはよく見つかるタイプのホットジュピター(太陽に接近した木星)で、恒星に近づいたために大気を剥がされた成れの果てである可能性はないのでしょうか?
英国ウォーリック大学の天文学者ジョージ・キング博士によると、「LTT 9779b」を巨大ガス惑星としてスタートさせてその大気を剥ぎ取るためには、X線加熱が不十分であると分析しています。
つまり、ここには大気を完全に剥ぎ取られた岩石だけの惑星か、巨大ガス惑星以外は存在し得ないというのです。
同じ研究チームのチリ大学の天文学者ジェームズ・ジェンキンス博士は他の可能性も説明します。それはこの惑星が巨大ガス惑星であった場合、ロッシュローブオーバーフローと呼ばれる作用によって、主星の重力に大気を奪われたというものです。
もしくは、この惑星はやはり海王星で、主星に近づいて間もないだけであるという考え方もできます。
いずれにせよ、この星系では私たちがまだ知らない、非常に珍しい現象が起こっていることはたしかです。
系外惑星の探索では、トランジット法という惑星が恒星の前を横切ることで発生する減光を分析し、星の成分や密度などを分析していきます。
「LTT 9779b」は非常に軌道が短いために、現在太陽の周りを18時間で周回しています。それはトランジット法による分析の機会が毎日訪れるということです。
残念なのはこの惑星があまりに珍しく、ここ以外には比較可能なサンプルが存在しないことです。
研究チームはできる限りこの惑星からデータを収集し、謎の多い「ウルトラホットネプチューン」の形成原理を探りたいと語っています。