健康上は無意味? マルチビタミンのメリット
マルチビタミンは、身体の維持に必要とされるさまざまな栄養素の詰まった栄養補助食品として販売されています。
アメリカでは、マルチビタミン・ミネラル(MVM)を定期的に摂取している人は全人口の33%に達するという報告があります。
栄養素の欠乏は、さまざまな病の発症と関連すると言われているので、マルチビタミンの摂取によって栄養の偏りを解消することは、自然な行為と考えている人も多いでしょう。
しかし、医学の世界ではマルチビタミンが健康にとって本当に意味のあるものか疑問の声が上がっています。
過去にさまざまな検証が行われていますが、その多くがマルチビタミンの摂取による優位な健康上の違いを見いだせないと報告しているのです。
例えば2017年の研究では、高齢の男性医師を対象に長期間のマルチビタミン利用によるランダム化プラセボ対照試験を実施した結果、心疾患、心筋梗塞、脳卒中の死亡率の低下は見られなかったと報告しています。
ランダム化プラセボ対照試験とは、体格や性別に関係なくランダムに選んだ人々を、本物の薬を与えるグループと偽薬(プラセボ)を与えるグループに分けて、それぞれに現れる効果を比較する試験です。
これは一般集団を対象に行なった調査でも同様で、米国予防医療専門委員会は、心疾患などの予防にマルチビタミンは推奨しないと言っています。
成人の認知機能に対する影響でも、これは同様に効果がないと2013年の研究で報告されています。