悪影響はないけれど、特に健康上有益な効果もない

今回の研究では、2012年に米国連邦政府によって実施された2万1千人以上を対象とした健康調査データを分析しています。
この調査では約5000人がマルチビタミンを摂取していると回答しており、1万6000人が摂取していないと回答しています。
この参加者に自分自身の健康状態に対する主観評価を行ってもらったところ、マルチビタミンの利用者は、非利用者より30%高い割合で自分は非常に健康状態が良好だと回答しました。
しかし、高血圧、糖尿病、喘息、関節炎など10項目の長期的な健康問題の病歴、感染症、神経機能障害、筋骨格問題など、19の一般的な病気の過去一年間の状況、うつ病や不安障害などの心理的な問題を含めた健康状態を調査すると、マルチビタミンの利用者、非利用者にとくに差は見られませんでした。
つまり、マルチビタミンの利用者は自分を健康だと判断する傾向はあるものの、実際の医学的な状況を調べると特に優位な差はでないという結果になったのです。
研究者はこの結果について、マルチビタミンが効くという信念によるものか、またはマルチビタミン利用者はポジティブにものを考える傾向があるためではないかと話しています。
研究チームによると、マルチビタミンは特に悪影響もない代わりに、健康を改善させる効果もない、単なるプラセボ効果しか確認できない薬だというのです。