爪の自動ロック機能で寝ていても枝から落ちない
多くの人が電車の中で立ったまま寝るのが難しいと感じているように、一般的な生物は睡眠中に力を入れ続けてバランスを保つことができません。
しかし鳥の足には独特のロック機能が備わっているため、睡眠によって足の力が緩んでも、枝から落ちてしまうことがないと言われています。
なぜなら、鳥の爪はしゃがんだときに自動的に曲がって枝をしっかりとつかむようになっているからです。
そしてその爪は足が再びまっすぐに伸びるまでは解放されません。
このロック機能は屈筋腱(筋肉と繋がって手足を曲げるのを助ける組織)によって生じています。
鳥はふくらはぎから続く筋肉が足首から腱になっており、それが指先まで繋がっているのです。
そして鳥の膝と足首が曲がると屈筋腱が伸び、足の指が自動的に曲がるようになっています。
ほとんどの鳥はこの自動ロックを活用しているので、寝ていても枝から落ちてしまうことがありません。
しかしながら、2012年に発表された論文では、ヨーロッパムクドリが眠っている時に爪の自動ロックを使用していないと判明。
これは、この鳥が学者たちの知らない他のバランス機能を備えていることを示唆しています。
そしてその謎は未だに完全解明されていません。
「鳥が眠っている時に枝から落ちない理由」が単純かつ難解である理由はここにあります。
多くの鳥は「睡眠スタイル」と「爪の自動ロック機能」によってバランスを保っていますが、一部の鳥には未知の機能が備わっているのです。
鳥のバランス機能を完全に解明するためには、今後も鳥の睡眠と身体の仕組みに注目していかなければならないでしょう。