プラスチックが生分解されない理由とは?
しかし、ここまで話したことは、プラスチック製造の基本に過ぎません。
ポリマーの種類は他にたくさんありますし、さらに、酸化防止剤、発泡剤、可塑剤、難燃剤などを加えることで、より多機能のプラスチックを作り出しています。
いわばプラスチック製造とは、地球の水や土壌にいる微生物にはなじみのない、未知の素材を作り出すプロセスと言えるでしょう。
すると、微生物たちは、それを消化して水や二酸化炭素まで分解することができません。
これが、プラスチックが生分解されず、数十年、数百年と原形を留めたまま地上に残り続ける理由なのです。
現在、プラスチックは年間3億トン以上も生産され、その半分は使い捨て、つまり使用後すぐゴミとなります。
このため、プラスチックの埋め立て問題が深刻化しており、年間約800万トンが海や川に流れ込んでいます。
それらは太陽光や風、波により細かく分解され、マイクロプラスチックとなります。
石油・天然ガス由来のプラスチックなら、その過程で温室効果ガスを放出しますし、製造に使われた添加剤が地中や水中に溶出します。
また、マイクロプラスチックは、水中の生き物たちがエサと間違って食べてしまいます。
それによって死に至る魚も多く、さらには、マイクロプラスチックを食べた魚を私たち人間が口にしているのです。
このように、プラスチックゴミは、地球環境を考える上で避けては通れない問題となっています。
プラスチックは、人類が生み出した最大の問題児と言えるでしょう。