新技術は法と倫理の問題を解決する
どんな手法でキメラが作られたのか?
鍵となったのは、実験手順のわずかな違いでした。
研究者たちはブタの胚にヒトの胚性幹細胞を加える方法の代わりに、まず最初に筋肉がつくれないブタの変異胚を作成し、この変異胚に人間の筋肉の元となる幹細胞を混ぜたのです。
どちらの方法も同じように見え、結果的に「ヒトの筋肉」の生産につながりますが、厳密には異なる手法とみなされます
さらに倫理的に重要な項目として、混ぜられたヒト幹細胞がブタの生殖細胞に移動しないことが確認されています。
そのため万一、ブタが研究室から周辺環境に拡散した場合であっても、野生においてヒトの筋肉を持つブタが産まれることはないのです。