孤独や知恵などの複雑な精神活動すら腸内細菌叢と関係があると判明!
近年の研究により、脳機能と腸内細菌叢が非常に密接に関連することが明らかになってきました。
腸内細菌叢は神経調節・ホルモン分泌・免疫力といった体の健康にかかわるだけでなく、開放性・協調性・誠実性といった人格特性、ストレス・同情心・共感能力・幸福感といった精神的な作用にも影響することが判明しています。
これらの結果は、脳と腸が自律神経やホルモン、神経伝達物質や免疫分子などを介して緊密に関連している(脳腸相関がある)ためであり、脳の状態が腸に影響し、腸の状態もまた脳に影響するからです。
さらに最新の動物実験では、腸内細菌叢を交換することが、動物の社会的活動を増やしたり減らしたりすることも判明しています。
そこで今回、カリフォルニア大学の研究者たちは新たに、人間にとって重要な要素である「孤独感」および「賢さ」と腸内細菌叢の関連性を調べることにしました(ここで言う賢さの定義とは「高度な認知機能と高い感情調節力」をさします)。
一見すると「孤独感」と「賢さ」は無関係にみえますが、心理学の世界では古くから、孤独を感じない人ほど賢く、賢い人ほど孤独を感じにくいという不思議な関係が知られていました。
研究者たちは、この不思議な関係もまた、腸内細菌叢と関連していると仮説を立て、実証しようと試みました。
はたして孤独感や知恵といった複雑な精神活動も、腸内細菌叢とかかわっているのでしょうか?