お尻ペンペンが後の反抗的性格につながる可能性
最近でこそ、子どもへの体罰は減っていますが、それでもスパンキングは、多くの養育者が暴力性の薄い「しつけ」の一手段と考えています。
しかし、研究主任のトレイシー・アフィフィ氏は「スパンキングが有害であることを示す研究例は数多くある一方で、教育に有益である結果は一つもない」と指摘します。
研究チームは、スパンキングの危険性を強調するため、カナダのオンタリオ州に住む14〜17歳の少年少女、計1883人を対象に調査を行いました。
子どもたちへのインタビューでは、精神疾患や、反抗的な行動(いじめ、道具を使った暴力、盗み、無断欠席など)の有無を調査。
また、幼少期にどれくらいの頻度で養育者からビンタやスパンキングを受けたかについても質問しています。
その結果、対象者の18%が幼少期に3回以上のビンタ、スパンキング行為を受けていたことが分かりました。
データを分析したところ、これらの子どもたちは、同行為を受けた回数が2回以下と答えた子どもに比べ、心身の疾患にかかる可能性が優位に高かったのです。
さらに、万引きや他人に危害を加えるなどの反抗的行動を起こす確率も高くなっていました。
そして重要な点は、これらの傾向が、幼少期の悪環境(親が薬物やアルコール中毒だった、親と別居状態だった、定期的に虐待を受けていた)とは無関係に生じていたことです。
つまり、日頃は良好な教育環境にあっても、つい子どもに手を上げてしまうことが後々の悪い結果につながりうるということです。
アフィフィ氏は「今回の結果は、他の先行研究と合わせて、スパンキングを教育に使用すべきではないことを強く裏づけるものです。
教育者の中には、スパンキングが非行の矯正手段として有効であると支持する人もいますが、一連の研究は、思春期の精神不安や反抗行動と明らかに関係しています。
養育者はビンタやスパンキングに取って代わる適切な教育の方法を考えなければならない」と述べています。
軽い気持ちでしたお尻ペンペンが、子どもに深い傷を残しているかもしれません。