Wi-Fiの電波から充電する装置を開発
Wi-Fiの電波から充電する装置を開発 / Credit:Depositphotos
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「Wi-Fi」を吸収して充電できる装置が登場

2021.05.22 Saturday

Wi-Fi電波は私たちの周りを絶えず飛び交っており、いつでも通信に利用できます。

逆に言うと、通信していないときのWi-Fi電波はすべて無駄であり、エネルギーが捨てられ続けていることになります。

そこで東北大学電気通信研究所に所属する大野 英男教授ら研究チームは、シンガポール大学と共同で、Wi-Fi電波を使って発電できる素子を開発しました。

研究の詳細は、5月18日付けの科学誌『Nature Communications』に掲載されています。

Wireless and Battery-free Spintronic Energy Harvester https://www.tohoku.ac.jp/en/press/wireless_and_batteryfree_spintronic_energy_harvester.html
Electrically connected spin-torque oscillators array for 2.4 GHz WiFi band transmission and energy harvesting https://www.nature.com/articles/s41467-021-23181-1

磁気トンネル接合によってWi-Fi電波から発電する

近年、スピントロニクス技術の研究が盛んに行われています

スピントロニクスとは、電子がもつ電気的性質(電荷)と磁気的性質(スピン)の両方を利用する分野であり、従来の電子工学では実現できなかった機能を生み出すことが可能。

そしてスピントロニクス技術の代表例として、「磁気トンネル接合」と呼ばれる構造技術が挙げられます。

磁気トンネル接合素子は、2つの磁性層が絶縁層をサンドイッチした構造をしており、メモリーデバイスとして機能します。

また、別の機能ももたせることができます。

高周波の電気信号や電磁波を送信・受信できるという特徴があるのです。これを利用すれば電力を生み出せます。

今回の研究における磁気トンネル接合と原理実証実験の模式図
今回の研究における磁気トンネル接合と原理実証実験の模式図 / Credit:深見俊輔, 東北大学

しかし、磁気トンネル接合素子単体では実用化レベルの出力を生成できません。

そこで研究チームは、磁気トンネル接合素子をこの用途に特化させるための調整を施しました。

さらに8つの素子を直列に接続することで、微弱な入力から出力が得られるようにしました。

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