カマキリは「水平偏光」に誘引されることが判明!
チームはまず室内で、ハリガネムシに寄生されたハラビロカマキリ(以下、感染カマキリ)と非感染カマキリが、水平偏光にどう反応するかを調べました。
実験では、筒の一方から偏光が、他方から非偏光が照射される装置をつくり、筒の真ん中から入ったカマキリが10分後にどちらにいるかを記録します。
光の強度は、150ルクス(薄明かり)、2000と6000ルクス(曇り空)、1万5000ルクス(晴天)の4つで行いました。
その結果、感染カマキリは、非感染カマキリに比べ、水平偏光サイドを選んでいたのです。
この傾向は、特に、明るさが2000ルクス以上で顕著になっています。
他方で、偏光の角度を「垂直に」変えてみると、明るさ・感染の有無に関係なく、偏光サイドを選ぶ傾向はなくなっていました。
ここから、感染カマキリは水平偏光に誘引されていると言えます。
チームは次に、野外で、感染カマキリが実際に水平偏光を反射する池に入水するかを調べました。
ビニールハウス内に「水平偏光を強く反射する池A」と「水平偏光をほとんど反射しない池B」を設置。両者の間に感染カマキリを放し、どちらに入水するかを観察します。
すると、池に入水した16匹の内、ほぼ全ての14匹が水平偏光の強いAの池を選んだのです。
以上の結果を踏まえると、感染カマキリは、水平偏光に誘引されて、入水行動を起こしていると結論できます。
さらにもう一つ、非常に興味深い点として、感染カマキリの多くは正午頃に入水行動を起こしていました。
研究員によると、正午付近は、歩行量を計測する実験において、感染カマキリがよく歩く時間帯でもあったとのこと。
これは、水平偏光への誘引や活動量の増加が、カマキリとハリガネムシの体内時計のコントロール下にあることで、特定時での集中的な入水が生じている可能性を示唆します。
研究チームは今後、この新たな問いを含め、寄生生物の行動操作の仕組みを解明していく予定です。