プラズマ風洞を利用した、大気圏再突入シミュレーション
プラズマ風洞を利用した、大気圏再突入シミュレーション / Credit:ESA,Demising a Solar Array Drive Mechanism(2021)
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人工衛星が大気圏で燃え尽きる様子のシミュレーション (2/2)

2021.06.26 Saturday

前ページ大気圏再突入で燃え尽きる人工衛星

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人工衛星を焼かねばならぬ

静止軌道の人工衛星と老朽化した破片のイメージ画
静止軌道の人工衛星と老朽化した破片のイメージ画 / Credit:ESA/ID&Sense/ONiRiXEL , CC BY-SA 3.0 IGO

現在地球の周囲には大量の人工衛星が飛び交っています。

それらはやがて老朽化して、地球を回る宇宙のゴミ(スペースデブリ)となっていきます。

こうしたスペースデブリの存在は、宇宙開発において大きな問題になっています。

このため人工衛星は、運用が終了すると、制御システムを使って衛星の軌道を下げ大気圏へ再突入させて処分する必要が出てきます。

ほとんどは大気圏で燃え尽きることになりますが、通常は地上へのリスクも考えて、衛星運用者は外洋をターゲットにして人工衛星を落下させます。

しかし、すべての衛星がそのように精密に制御して、着陸地点を決めるとなると、かなりコストがかかってしまいます。

そのため、無制御落下も選択肢に含めたいところですが、これを行うためには、現在のNASAのガイドラインに従う必要があります。

このガイドラインでは、落下衝撃によって起きる人的被害の確率が1/1万以下であることを証明しなければならないとされています

では、どうやってそんなことを証明するのかというと、そこで役立つのが今回の実験です。

大気圏再突入で人工衛星の素材が全部きっちり燃え尽きることを示すことができれば、無制御落下の条件を満たせるのです。

今回の映像は、そのためのシミュレーションで、人工衛星で特にかさばる部品とされている太陽電池アレイ駆動機構(SADM)が燃え溶ける様子を映し出しています。

太陽電池パネルの位置を制御するSADM
太陽電池パネルの位置を制御するSADM / Credit:ESA,Deep-space CubeSats: thinking inside the box(2018),ナゾロジー編集部

人工衛星を運用するためには十分な強度が必要です。

しかし、運用が終了した際には、大気圏できっちり燃え尽きる設計にしなければならないのです。

この調整は難しいものがあり、そのために今回の実験が役立つのです。

今回は新しいタイプのアルミニウム製ネジを使った設計をまずはソフトウエアで行い、その融点を調節し、実際に模型を組んで実験を行いました。

映像では新しい設計のSADMが、時速数千kmの熱風にさらされた際、きれいに蒸発することが示されています。

こうして見ると、大気圏突入がいかに凄まじいものかがよくわかります。

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