猛烈な津波の痕跡
頁岩に保存されていたのは、メガリップルと呼ばれる化石化した波紋です。
地下の堆積層には、「漣痕(れんこん)」または「ripple mark(リップルマーク)」と呼ばれる、水や風が作った規則的な波状の模様ができることがあります。
この特に大規模なものがメガリップルと呼ばれます。
研究チームが地下の堆積層から発見したのは、最大1kmの間隔で平均16メートルの高さで刻まれたメガリップルでした。
キンスランドはこれが小惑星衝突時の津波が押し寄せたときにできた痕跡だと考えたのです。
彼によると、この波紋はチクシュルーブ・クレーターに向かって一直線に並んでおり、またクレーターから見つかる降下物と化学的一致する細かい粒子の層で覆われていたとのこと。
この層は、当時は海岸線沿いにあったと考えられますが、深さが60メートル以上ある深い海域だったため、衝突体が起こした津波以外では、その後この層まで届く波はやってこなかったと考えられています。
そしてこの痕跡からは、チクシュルーブ衝突体が発生させた津波の規模が明らかになったのです。