本能に刻まれた「偏見」と「差別」と戦うにはどうすべきか?
今回の研究により、ラットの苦しんでいる仲間を助け出す行動が、共感と報酬の2つの回路によって作動していることが示されました。
親しい仲間を助け出すことは、社会的な要素を持つ哺乳類全般にとって、快楽によるご褒美が用意されている行動だったのです。
一方、見知らぬ他人の苦しみに対しては、共感の回路を働かせて「かわいそう」「苦しそう」と思うものの「報酬系」が作動せず「助けられるけど助けない」という結果をうみました。
研究者たちは同様の回路が人間にも存在していると考えており、身内意識や仲間意識から発する「偏見」や「差別」の源泉になっていると結論しました。
このような「偏見」や「差別」を乗り越えて、困難な状況にある人々を助けるには、教育などによる行動規範の後天的な植え付けが必要となるでしょう。
人間の本能をターゲットに絞った効果的な教育法が普及すれば、より公平な社会が実現できるかもしれません。