ソーシャルメディアの報酬
FacebookやTwitter、Instagramなどのソーシャルメディアの利用者は、思想や言動などが過激化していくと推測する研究があります。
こうした研究者たちは、特に人々が道徳的な怒りを表明する頻度があがるのだ、と指摘しています。
道徳的な怒りというのは、社会的に善となる方向へ導こうとする原動力であり、道徳的違反に対する罰を動機づけし、社会的協力を促進し、社会的変化を促進する可能性があるものです。
これは決して悪いことだとはいえないでしょう。
しかし道徳的な怒りは、マイノリティグループへの嫌がらせや、偽情報の拡散、政治的二極化の一因になるという側面もあると研究者は述べています。
そういわれると、たしかにソーシャルメディアには道徳的怒りを表現する人が多いと感じる人もいるかもしれません。
ただ、こうした主張に対する確固たる証拠は不足しています。
実際、人々の発言や考え方がソーシャルメディアによって影響を受け、変化していくことはあり得るのでしょうか?
そこで今回、イェール大学心理学部のモリー・クロケット(Molly Crockett)准教授と、彼女のもとで研究を行うウィリアム・ブレンディ(William Brady)博士をはじめとした研究チームは、その証拠をまとめてみようと、Twitterで道徳的怒りに関連する投稿を追跡できる機械学習ソフトウエアを構築。
このソフトウエアを使い、ヘイトクライムの議論や政治家の公聴会、航空機内での諍いなど、物議を醸した出来事の際に収集された7331人のTwitterユーザーを対象に、彼らのつぶやいた1270万件のツイートを分析しました。
この分析では道徳的怒りを示すツイートについて、次の3つの条件を満たしたものと定義しています。
「個人的な道徳違反に対する反応であること」
「怒りや嫌悪、軽蔑の感情を示していること」
「何らかの非難や説明責任を求める内容を含むこと」
すると、ここからはユーザーの投稿内容の変化に関する明確な傾向が見えてきたのです。