定期的な樹木の伐採がチョウに好まれる環境を作っていた
チームは、送電線下がチョウの楽園になる理由を解明するため、そこに茂っている植物を調査しました。
その結果、荒地性種と森林性種のチョウの幼虫が食べる植物(食餌植物)が、送電線下に最も多く存在すると判明。
また送電線下には、成虫が蜜を吸う花も豊富に存在していました。
つまり送電線下はチョウの幼虫と成虫にとって食物が豊富な場所であり、それゆえにチョウの生息地として繁栄していたのです。
このチョウにとって豊富な餌の存在は、送電線周辺の定期的な樹木伐採が関係していると考えられます。
通常、樹木が伐採されて裸地になると、その状態から徐々に草が生え、木に成長し、元の状態へと遷移していきます。
このプロセスは植生遷移と呼ばれています。
もし一度伐採された後に長期間放置されるだけであれば、そのあたり一帯は均一な植生遷移が続くだけです。
しかし定期的な伐採が行われることで、送電線下にはさまざまな段階の多様な植物が繁茂するようになり、いろんなチョウにとって餌が豊富な環境になっていたのです。
さて今回の発見は、世界的に進行している生物多様性の損失を防止することに貢献するかもしれません。
送電線下を適正に管理することで、チョウやその他の生物の生息場所としての価値を高められるでしょう。
また今回の発見を応用することで、「人間にとって便利な環境」を維持しつつ、「生物多様性」を促進させられると分かりました。
今後も、人間と生物どちらにとってもメリットのある介入ができるといいですね。