見られていると集中できない
これはイタリア技術研究所(IIT)が開発した人型ロボット「iCub(アイカブ)」です。
これは4歳児ほどの人間の子どもを想定して作られた幼児型のロボットで、歩いたりはできませんが、53のモーターと76の関節を持ち、細やかな動きを再現できます。
また、LEDライトで眉や口のラインを表示することで、表情を作り出すことができ、稼働する目で視線を作り出すこともできます。
視線は人と人との相互作用、コミュニケーションにおいて重要な信号です。
それは相手に意図を伝えたり、人の判断に影響を与えることもあります。
人前だと緊張して本来の力が発揮できない、という人も理由の多くは視線にあるといえるでしょう。
では、ロボットと人間がお互いに視線を交えたとき、そこではどんな相互作用が起きるのでしょうか? あるいは人ではない存在とは、視線による相互作用は起きないのでしょうか?
こうした問題を調べるために、今回の研究チームは、人型ロボットiCubの視線が、人々の意思決定に与える影響について実験を行いました。
実験では40人の被験者をiCubの向かいに座らせ、コンピューター画面上で2台の車が正面からぶつかり合うチキンレースのゲームをしてもらいました。
ゲームは衝突の直前で一時停止します。
このとき、被験者にはロボットの方を見上げてもらい、ロボットはその視線に対してまっすぐ見つめ返すか、視線をそらす動作をします。
この瞬間に、被験者はさらに車を前進させるか、進路をそらして避けるかの判断を行います。
では、実験の結果はどうなったでしょうか?