亜鉛がウイルス感染の予防と治療の両方に効果があると判明!
亜鉛は人間の生命活動に必須な微量元素の1つです。
体内に含まれる亜鉛は微量でありながら、免疫や炎症、傷の修復、血圧や低酸素にかかわる体の反応に大きな役割を果たしています。
また男性においては、亜鉛は健康な精子を維持するために有効です。
精子に含まれる亜鉛の濃度は血中の85倍~90倍となっており、精子はこの高濃度の亜鉛によって細菌感染から守られ、同時に遺伝子のエラーを防いでいるのです。
そこで今回、ウェスタンシドニー大学の研究者たちは、亜鉛の持つ感染防護能力を総合的に評価することにしました。
研究者たちはまず、28件の臨床試験に参加した5446人のデータを分析。
ウイルス性呼吸器感染症に対する亜鉛の効果を総合的に調査しました。
結果、亜鉛をウイルス感染の予防策として摂取していた場合、軽症になるリスクが28%低く、中程度の症状になるリスクを87%低くすることが判明します。
また感染後に治療薬として亜鉛を服用した場合にも効果があり、平均して症状の回復が2日速くなりました。
さらに治療薬としての亜鉛は即効性がないものの、亜鉛を3日間服用した患者はプラセボと比較して、症状が有意に軽減されていることも示されます。
なお、研究に用いられた亜鉛は、錠剤やゲル、点鼻薬(鼻スプレー)の形で摂取されました。
亜鉛を摂取したことによる主な副作用は、吐き気や口・鼻の炎症が中心となったものの、命にかかわるような深刻な副作用は報告されていないとのこと。
これらの結果は、亜鉛がウイルス感染症に対して、予防薬と治療薬の2つの効果を同時に持っていることを示唆します。
世界にはさまざまな薬が存在しますが、予防薬と治療薬の効果を併せ持つケースは非常に珍しいと言えます。