水責めでマウスを強制的に「うつ状態」にする
いかにして改良されたGLP-2の効果を確かめるか?
研究者たちが選んだのは、強制的にうつ状態にさせられたマウスでした。
多くの研究ではマウスをうつ状態にする場合、強いマウスに弱いマウスをいじめさせる「慢性社会的敗北ストレス」を利用しています。
ですか今回の研究で用いられた方法は一種の水責めとも言うべき「強制水泳」でした。
一般的に行われている強制水泳試験ではまず、マウスをどこにもよじ登れる所がない水槽に落とします。
するとマウスは最初、なんとか脱出しようと必死に泳ぎますが、やがて絶望して「うつ状態」に陥ります。
その後マウスは人間によって救出されまずが、休憩時間を置いて再び水槽に落とされます。
この時、うつ状態が強いマウスほど泳ぎ諦めるのが早く、水面から鼻だけを出したまま「無動状態」になる時間が長くなります。
逆にうつ状態が弱いマウスは生きる気力が残っており、全体に占める無動状態の比率が減ります。
研究者たちは1度目の強制水泳によって、うつ状態に陥ったマウスの鼻粘膜に、改良されたGLP-2を投与して、2度目の強制水泳の「無動状態」の時間を測定しました。
改良されたGLP-2にどんな効果があったのか?
結果、改良されたGLP-2を鼻粘膜に投与されたマウスは、わずか20分ほどでうつ状態から脱却していることが判明しました。
この20分という極めて高い即効性は、通常のGLP-2を脳内へ直接投与した場合に匹敵するものです。